壁や床、天井は、埃、調理の油や煙など、日常生活で発生する汚れによって変色したり、紫外線によって褪色したりするので、徐々に見た目が悪くなってしまいます。キッチンでは煙や油、洗面所やトイレは水撥ねがあるので、寝室などの居室より、早く汚れが目立つようになってしまいます。
場所の他に、内装に使われている素材や、日当たりの良さなどによって、耐用年数は変わってきますが、天井と壁のクロスやクッションフロアなどは、10年程度を塗り壁やフローリングの張替えは、15~20年目安に交換すると、きれいな室内のイメージを維持できます。内装リフォームは、部分的にすると、他の部分の汚れが目立ってしまうので、全体的にリフォームする方法が理想的ですが、個別にかかる費用を確認しておきましょう。
内装リフォームの素材別費用
壁に使われるクロスは、素材によって費用が変わります。
ビニールクロス
塩化ビニール樹脂の、紙を裏打ちしたクロスです。クロスの中で、最も価格を抑えられます。水撥ねに強い、汚れが付きにくく、ついた汚れは落としやすいという良さがあります。
壁紙メーカーが定番にしている量産品クロスは、900円〜1,300円/m2 です。色や柄のバリエーションが少なく、シンプルなタイプがほとんどですが、耐久性や防カビ性などの機能性は、価格の高いクロスに劣ることはありません。量産品クロスで6帖の部屋のクロスを張り替えた場合、今ある壁紙を剥がしたり、養生したりする費用も含めて、およそ20,000円~40,000円かかります。
色や柄のバリエーションが豊富で、ビニールクロスには見えない質感のある1000番台クロスは、1,000円~1,700円/m2 です。耐久性や防カビ性に加えて、防汚や、吸湿などの機能を備えたタイプもあります。1000番台クロスで6帖の部屋のクロスを張り替えた場合、今ある壁紙を剥がしたり、養生したりする費用も含めて、およそ40,000円~60,000円かかります。
紙クロス・織物クロス
どちらも自然素材にこだわりたい人にとって、魅力的なクロスです。紙クロスには、パルプを原料とした洋紙タイプ、コウゾやミツマタから作られた和紙、ケナフという植物の繊維から作られる非木材紙などがあります。織物クロスには、レーヨン、合成繊維、綿や麻などを原料にしたタイプがあります。
どちらも吸湿性、通気性があるので、室内の湿度を調整する働きをします。暖かみ、高級感などの質感の良さもあります。ただ、埃を吸い込みやすい、シミがつくと落としにくいという面もあります。リビングや寝室などには向いていますが、キッチンや洗面所などの水回りには、ビニールクロスの方が無難です。価格には幅がありますが、どれもビニールクロスより高価です。
木質系クロス
天然木やコルクなどに、紙を裏打ちしたクロスです。天然木を使ったクロスは無垢材のサラッとした感触、コルクを使ったクロスは、コルクに柔らかな感触があります。どちらも、紙クロス、織物クロスより高額です。
無機質系
塗り壁に使われる漆喰や珪藻土を使ったクロスです。本物の塗り壁にはかないませんが、塗り壁のように見え、塗り壁と同じように吸湿性があります。
オレフィンクロス
ポリエチレンなどの合成樹脂を原料に作られたクロスですが、自然素材のような質感を持ったタイプもあります。水撥ねに強い、汚れにくく、汚れが落としやすいという良さがあり、塩化ビニールが使われていないので、燃えた時に、有毒ガスを発生しないという安心感があります。
内装リフォームの素材別費用・床の張替え
床は、壁より汚れやすいので、床の張替え時には、見た目の良さに加えて、汚れにくさ、掃除のしやすさを気にされる方も多いと思います。また、小さな子供や高齢者のいるご家庭では、滑りにくさ、弾力性なども、注意したいポイントです。
滑る床は、怪我をするリスクが高まります。硬い床は、日常生活の動作が、間接に負担をかけるだけではなく、転んだ時に受ける損傷が重症になる恐れがあります。床材選びでは、インテリア性、質感や色の好み、汚れにくさ、掃除のしやすさ、踏み心地の良さなどを併せて選ぶことが大切です。
無垢材フローリング
自然派の人に好まれる天然木から作られる床材です。樹種によって様々な色あいや香りがあります。無垢材は、内部に多くの空気を含んでいるので、断熱性、蓄熱性と弾力性があります。断熱性と蓄熱性は、表面温度が室内の温度変化の影響を受けにくい床にするので、冬の足元の冷えを抑えます。弾力性は、日常生活の動作が間接に負担をかけない、よちよち歩きの子供が転んでも深刻な事故になりにくいという床にします。
無垢材フローリングの張替えのかかる費用は、樹種によって大きな幅があり、6帖の部屋のフローリングの張替えには、10~25万円の費用がかかります。高級家具に使われる木材として有名なマホガニー材やウォールナット材、チーク材などは、高価ですが、パイン材やアカシア材などは比較的手ごろな価格です。
また、同じ樹種であっても、節や変色が少ないほどグレードが高く、節が大きくなるほど、グレードが低いとされています。調湿性や弾力性など、無垢材の持つ性質が劣るわけではありませんが、見た目にこだわる人にとっては、高グレードが好まれます。加えて、フローリング1枚1枚の幅が広いほど、高価になっていきます。
複合フローリング
複合フローリングは、小さな木片を継ぎ合わせた集成材タイプと、合板に木の化粧材を張り付けた化粧シートタイプがあります。集成材の中には、無垢材と見分けがつかないような見た目を持つ製品もあります。複合フローリングで6帖の部屋のフローリングの張替えをした場合には、9~12万円の費用がかかります。
どちらも、無垢材と違い、乾燥の度合いが均一なので、反りやゆがみ、ひび割れなどが起こりません。一方、どちらも接着剤を使用しているため、無垢材にある細かな穴がありません。無垢材は、表面にある無数の穴から、空気中の水分を出し入れして、室内の湿度を調整します。そして、その穴の中には、たくさんの空気が含まれているので、断熱性や弾力性を持っています。しかし、複合フローリングは、接着剤でその穴が塞がれているので、調湿性や弾力性などは備えていません。また、化粧シートタイプは、紫外線によって経年劣化し、表面の化粧シートが剥がれてきてしまうことがあります。
コルク
コルク樫の樹皮を圧縮して作られた木質系の床材で、吸音性、弾力性、断熱性があり、滑りにくい床です。小さな子供がいる、犬や猫と一緒に暮らしているというような家族に好まれます。水に強いタイプもありますが、シミはつきやすいです。コルクで6帖の部屋の張替えをした場合には、15~18万円の費用がかかります。
クッションフロア
クッション材が裏打ちされている塩化ビニールの床材で、耐水性、防汚性があります。色、質感に多彩なバリエーションがあり、製品自体も工事費も、他の床材に比べて安価です。クッションフロアで6帖の部屋の張替えをした場合には、4~8万円の費用がかかります。
内装のリフォームをする際に考えたいこと
部分的な内装リフォームは、手軽な費用でできるので、汚れが目立ってきた部屋から順番にしていくという方法をとる方も少なくありません。例えば、今年はリビング、来年はキッチン、次の年は寝室というような方法です。その場合、毎回の工事に日数がかかり、毎回の工事に費用がかかります。最後の場所をリフォームする頃には、初めにリフォームをした場所の経年劣化が始まるというようなことになりかねません。
そうなると、常にどこかをリフォームしているというような状態になってしまいます。その間にかかった工事日数と費用を合計してみると、1回1回は手軽だと思っていたのに、かなり高額になってしまったという結果になるかもしれません。やがて、外壁塗装や、屋根の葺き替えも必要になってくるでしょう。住宅設備機器の使い勝手も低下してきます。
そのようなことを考え併せると、リフォームは部分的にするより、まとめてする方がずっと効率的です。しかも、一階まるごと、又は戸建てまるごとリフォームをすれば、断熱改修や耐震補強もできます。
■ ■ ■
リフォームを考える時、目に見える内装が経年劣化してきたということは、目に見えない部分も劣化しているかもしれない、ということにも目を向けることが大切です。目に見えない部分をリフォームすれば、冬は暖かく夏は涼しい家、地震が来ても安心な家に、生まれ変わらせることができるからです。内装リフォームを考え始めるタイミングで、家全体のリフォームに目を向けてみませんか?
■ ■ ■
リフォームに際しては、壁を取り払った時の床面積と、家族構成、家族の暮らし方を併せて、計画を進めることが大切です。賢く計画して、居心地がよく広々としたリビングと、使い勝手の良いキッチンを実現させましょう。
リフォームやリノベーションを検討し始めると、どのくらいに期間と費用がかかるのだろう?工事中はどうやって生活するのかしら?など、様々な疑問が出てきます。どんなことでも、どうぞご相談ください。大事な持ち家を大切にしながら、より暮らしやすい家にすることが、RenoBASE8の基本です。より良い暮らしができる家にしたいという想いを叶えるお手伝いをさせてください。