築年数が長くなり、より暮らしやすい家にするために、家全体のリノベーションを検討する場合、決めなくてはならないことがたくさんあり、どこから始めたらよいのか迷われるのではないでしょうか?
家の中で効率よく動けるようにしたい、プライバシーを確保できる部屋が欲しい、家族で団欒できる広いリビングにしたい、というような間取りに関する希望や、外観や内装をきれいにしたいという希望は、家族それぞれの想いを表す希望なので、わかりやすいと思います。
しかし、暮らしやすい家にするためには、それだけでは足りません。一年を通じて、適切な暖かさや涼しさを維持できる家、きれいな空気に満ちている家、地震や火災への備えができている家など、目に見えない部分の住宅性能が求められます。
リノベーションの際には、間取りは内装、外観など、目に見える部分に家族の希望が集中してしまいやすいのですが、同時に住宅性能も高めることが、快適な暮らしに繋がります。
住宅性能を高めると言われても、何をどうしたらよいのか…と思われる方も多いと思います。具体的に、住宅性能をどの程度高めれば、快適な暮らしに繋がるのかということは、わかりにくい問題でもあります。そこで、わかりやすい基準として活用できる制度が、住宅性能表示です。
始めに、第三者機関の評価員が住宅性能表示制度の基準を基に、住宅性能をチェックします。その結果、外壁のひび割れや、構造部への漏水など、住まいの劣化や不具合と、断熱や耐震といった住宅性能を明確にできます。その上でリノベーションに望めば、問題部分の修復ができ、基準を満たした住宅にすることができます。その結果、「安全に快適に暮らせる住宅にするための必要な備え」がある家へのリノベーションができるので安心です。
住宅性能表示とは?
住宅性能表示制度は、消費者がより良い住宅を見極められるように、住宅品質確保法に基づいて定められている制度です。その為、新築住宅だけの基準だと思われている方も少なくありませんが、既存住宅の住宅性能の基準でもあります。
新築住宅には10の分野に渡る項目がありますが、既存の住宅に対しては7分野の項目があります。
安全に暮らすための項目
構造の安定に関すること 地震や台風などに対する備え
耐震等級
地震によって倒壊や損傷の被害を受けない強さに対する評価です。評価は1から3までの等級に分かれています。等級が高いほど、高い耐震性を持ちます。建築基準法に定められている耐震等級は1ですが、長期優良住宅には、2以上が求められます。免震住宅である場合には、耐震等級の表かは行われません。
火災時の安全
自宅が家事になった場合の燃え広がりにくさ、避難のしやすさ、隣家か家事になった場合の延焼のしにくさに対する評価です。
防犯
窓や玄関ドア、勝手口ドアの防犯機能に対する評価です。
長年に渡り住宅の良いコンデイションを維持するための項目
維持管理とメンテナンスのしやすさ
水道管やガス管、排水管の点検や清掃、修理のしやすさを表す評価です。
健康的で快適な環境を調える為の項目
空気環境
シックハウス対策として、空気中に含まれている化学物質の濃度が低いことや、適切な換気計画がされていることに対する評価です。
日当たり
健康的に暮らせるだけの日当たりの良さ、晴れた日の日中には、照明をつけなくても日常的な作業ができるだけの陽射しの量を確保できる窓が設置されていることに対する評価です。
バリアフリー
車椅子で通れる出入り口の幅、段差解消や手すりなど、高齢者や障害者の暮らしやすさが配慮されていることに対する評価です
耐震等級を満たすリノベーションとは?
現在の住宅が昭和56年以前に建てられた住宅である場合、現在の耐震基準を満たしていない住宅である恐れがあります。現在の耐震基準では、震度6強~7相当の地震が発生しても、建物が倒壊、崩壊しない耐震性を満たすことが求められていますが、昭和56年以前に建てられた住宅は、その基準を満たしていないことが多いのです。
昭和56年以前の旧耐震基準では、震度5強程度においては倒壊、崩壊しない耐震性が基準とされていた為、震度6以上の地震が発生した場合、倒壊、または崩壊する恐れがあります。平成25年に行われた国土交通省の調査によると、昭和56年以前に建てられた住宅のうち、耐震性のない住宅は、17%もあるという結果が出ています。
では、現在の住宅が十分な耐震性能を持っていない場合、どのような耐震補強の方法があるのでしょうか?
基礎の補強
土台にひび割れや漏水、シロアリ被害などが発生している場合には、基礎をコンクリートで補強し、修復した土台としっかりつなぎ合わせます。
筋交いや耐力壁を入れる
木造住宅の場合、地震の横揺れを受けとめる部分は、筋交いの入った耐力壁です。柱や梁に対して、耐力壁が適切な位置に配置されている家は、構造が安定し、耐震性が高まります。
接合部を補強する
柱と梁、土台と柱などの主要な部分は、特殊な金物で接合されています。しかし、築年数の長い家においては、過去の地震や台風に揺れによって、接合部が弱まっている恐れがあります。リノベーションでは、この部分をしっかりと補強し、耐震性を高めます。
快適な環境を作るリノベーションとは?
住宅に大切な要素には、快適な暮らしができるということもあります。日当たりと風通しが良い家、夏涼しく、冬暖かい家にするためには、リノベーションでどのようなことができるのでしょうか?
築年数の長い家は、家を建てた当時とは、敷地周辺の環境が変化してしまっているというケースも少なくありません。マンションが建ったり、住宅が密集したりして、日当たりが悪くなってしまったというような場合には、リノベーションで、日当たりを良くすることができます。
外壁も取り除いて、骨組みだけ残すリノベーションの場合、窓の位置を自由に変更できるからです。変化した周辺環境に合わせて、陽射しを散りこめる窓を設けることで、日当たりの良い環境を作れます。隣家や道路からの視線が、気になるような環境であっても、ハイサイドライトやトップライト、吹き抜けを採り入れると、十分な陽射しを採り入れつつ、外部の視線を遮ることができます。
ハイサイドライトは、頭より高い位置にある窓のことです。高い位置にあるので、視線が入らないほかに、陽射しが入る時間が長いという良さもあります。また、空気には、暖まると上昇するという性質があるため、夏には、ハイサイドライトがあると、室内の熱を効率よく排出します。
トップライトは、天井につける窓です。すぐそばに隣家が建ってしまったとしても、吹き抜けとの組み合わせで。1階まで陽射しを届けられます。近年、人気が高いスケルトンタイプのリビング階段と組み合わせると、さらに陽射しと風を通しやすくできます。
加えて、室内の建具にガラスのドアや、透かしのあるランマなどを採用して、光を通す工夫をすることで、取り込んだ陽射しを、家の中心部まで届けられます。
陽射しを確保できると、温熱環境も向上します。日当たりの良い家は、暖かいからです。さらに、天井や壁、床、窓、玄関と勝手口のドアの断熱性を高めることで、冬暖かく、夏涼しい家という環境が調います。
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耐震、断熱、劣化対策、維持管理それぞれの項目で、一定以上の基準を満たした場合、長期優良化住宅の補助金が受けられる可能性があります。令和2年度 長期優良住宅化リフォーム推進事業の交付申請の受付期間が、令和2年12月18日から、(金令和3年1月29日(金)まで延長されたので、申請できるチャンスが増えました。
リノベーションにあたっては、長く安心して快適に暮らせる家にするために、見える部分だけではなく、見えない部分である住宅性能にも、力を入れることが大切です。
リフォームやリノベーションを検討し始めると、どのくらいに期間と費用がかかるのだろう?工事中はどうやって生活するのかしら?など、様々な疑問が出てきます。どんなことでも、どうぞご相談ください。大事な持ち家を大切にしながら、より暮らしやすい家にすることが、RenoBASE8の基本です。より良い暮らしができる家にしたいという想いを叶えるお手伝いをさせてください。