中古戸建て+リフォームで何年住めるか|木造住宅の寿命を伸ばすメンテナンス
少し前までは住まい探しといえば新築を選ぶ方がほとんどでしたが、最近は中古住宅の全面リフォームを選ぶ方も増えてきています。費用を抑え、環境にやさしい点は魅力的ですが、木造住宅は何年住めるのかは気になるところです。
そこで今回は、木造住宅の寿命の考え方やメンテナンス方法、セルフチェックなどをお伝えします。建て替えとリフォームで悩んでいる方もぜひ参考にしてください。
目次
1.木造住宅の寿命は何年?
2.木造住宅が痛む原因
3.木造住宅の寿命を延ばすリフォーム
4.木造住宅セルフチェック
5.リフォームと建て替えはどちらがお得?
6.【結論】中古住宅+全面リフォームは何年住める?
1.木造住宅の寿命は何年?
まずは木造住宅の寿命がどれくらいなのかチェックしていきましょう。
1-1.部位により寿命が違う
木造住宅を構成する部材はさまざまな素材と工法に分かれているため、一軒家でも部位によって寿命は変わってきます。建物の主要な部位それぞれの寿命目安は以下の通りです。
寿命の目安 | |
基礎コンクリート | 60~100年 |
土台・柱・梁など木部構造体 | 80~100年以上 |
給排水管 | 30~40年 |
屋根材 | (日本瓦)50~100年 (スレート屋根)20年 |
外壁材 | (サイディング)30~40年 (モルタル)30~40年 |
使用している部材や工法によっても寿命は変わってきます。部位ごとの耐久性を考えると、「新築後ノーメンテナンスで住める寿命は30~40年」「リフォームなどメンテナンスをすれば80~100年」というのが木造住宅の目安といえるでしょう。
2.木造住宅の寿命が縮む原因
年数が経つごとに住まいは少しずつ劣化していきますが、特に寿命を縮めてしまう原因をピックアップしました。
2-1.雨漏れ
柱や梁などの構造体に木材を使用する日本の住宅は、雨水が浸入することで木部が腐敗し耐久性に影響が出ます。雨漏れの原因は屋根というイメージが強いですが、ベランダの床や壁と窓サッシのすき間など、様々な場所から雨水は侵入します。
2-2.給排水漏れ
雨漏れと同じく、給水・排水管からの水漏れは壁裏や床下の木部を腐らせ、建物の寿命を縮める原因となります。現代の戸建て住宅の給排水管はほとんど壁裏や床下に隠蔽してあるため、気付かないうちに症状が進行する危険な原因です。
2-3.結露/湿気
高温多湿な日本では、長年の結露によってカビや腐敗が発生し、木部がダメージを受けることもあります。原因は室内の換気不足や断熱性能の不足などが考えられます。特に湿気を含む地盤に建っているお住まいで、床下に土が見える構造の場合床下がダメージを受けやすいです。
2-4.強い日差し
日当たりの良い住まいは気持ちよく過ごすことができますが、強い直射日光が当たる場所は傷むのが早くなります。同じ家の外壁でも、強い夕日を浴びる西側の壁は他の場所と比べて傷みやすいです。強い日差しで劣化した木部や外壁は雨水が侵入しやすくなり、結果として木部の腐りにつながることも。
2-5.蟻害
木造住宅の大敵としては、大切な柱や土台を食べてしまうシロアリも挙げられます。シロアリが内部を食べた木材は、まるで麩菓子のように柔らかくなって地震に耐えることができません。前述した雨漏れや水漏れによって木が腐ると柔らかくなり、シロアリに狙われやすくなります。
2-6.地震や台風などの揺れ
地震や台風が多い日本では、揺れなどの外力によって建物がひずみ、ひび割れが発生することも少なくありません。一度の地震で倒壊することがなくても、目に見えない部分にひずみが発生して耐震性が低下しているケースもあります。外壁などのひび割れは、前述した雨漏れの原因となり寿命を縮めることになります。
3.木造住宅の寿命を延ばすリフォーム
寿命を縮めるさまざまな原因から住まいを守り、長く使えるようにするリフォームをピックアップしました。
3-1.外壁/屋根塗装
雨風や日差しから建物を守る外壁・屋根の塗装は、木造住宅の寿命に大きく関わる重要なメンテナンス。
メンテナンスサイクルは10~15年が目安ですが、直射日光を強く受ける屋根は劣化スピードが早いため、屋根の状態を基準にするのが基本です。タイミングをずらすと足場を2回組まなければいけないため、屋根と壁は同時に塗装したほうが費用を抑えられます。
3-2.給排水管入れ替え
古くなった給排水管はつなぎ目から水漏れを起こす可能性が高まるため、耐用年数を過ぎたら入れ替えることで寿命を伸ばすことにつながります。
入れ替えサイクルの目安は30~40年前後で、床や壁を解体する必要があるため全面リフォームと同時に検討するのが良いでしょう。
3-3.水回り設備交換
お風呂・洗面台・トイレ・キッチンなどの水回りは消耗品であり、耐用年数を過ぎて使い続けると水漏れして寿命を縮める原因となります。特にタイルのお風呂はひび割れから水漏れを起こしやすいため、水回りの中でも優先度が高い箇所です。
使用状況によっても異なりますが、メンテナンス時期の目安は15~20年前後が妥当です。これくらいの年数が経つと使い勝手なども進化しているため、新しい設備に交換することで寿命を伸ばすとともに快適な暮らしにもつながります。
3-4.耐震補強
柱や梁を補強して耐震性を高める工事も、建物の揺れを抑えることで長寿命化に貢献します。揺れが少なくなることで外壁などのひび割れが発生しづらくなり、大きな地震で倒壊する可能性を下げることができます。
耐震補強の実施タイミングは経過年数ではなく、築年数が一つの目安となります。耐震性能を決める建築基準法は1981年に大きく見直されたため、それ以前に建てられた木造住宅は耐震性能が低い可能性があります。もちろんすべての木造住宅が危険なわけではありませんが、1981年以前の建物は詳しく耐震診断をしてみましょう。
3-5.ベランダ防水
水が溜まりやすいベランダの床面は、防水膜が劣化して雨漏れを起こしやすい場所です。基本的には10~15年で外壁屋根と一緒に防水層を塗りなおしますが、必要に応じて早めのタイミングで施工する場合もあります。水の流れが悪かったり、落ち葉などで排水溝が詰まりやすかったりするベランダは注意してください。
3-6.シロアリ消毒
床下の木部をシロアリ被害から守るために、定期的にシロアリ消毒の薬剤散布が必要です。新築時の柱や土台にはシロアリを寄せ付けない薬剤が注入されていますが、年数が経つと効き目が弱まります。メンテナンスサイクルは5年前後が目安ですが、アリを見かけることが多いなど前兆がある場合は早めに調査するのがおすすめです。
4.木造住宅セルフチェック
大切な住まいの寿命を少しでも伸ばすためには、普段からチェックして劣化を早めに察知することが重要です。材質や工法によって劣化のサインは少し変わりますが、自分で簡単にできるご自宅のチェック方法をご紹介します。
4-1.外壁と屋根
雨漏れにつながる外壁と屋根の劣化はお住まいの外から簡単にチェックできますので、定期的に実施したいですね。
外壁はサッシや玄関ドアなどの開口部周りにすき間やヒビが出やすいため、窓やドアの周囲を目視してみてください。サイディング壁の場合、パネルのすき間に柔らかいコーキングが詰まっていますが、年数が経つとひび割れて雨漏れの原因となります。
屋根は1階やベランダからの目視でチェックします。屋根材は釘で固定されているのですが、季節の温度差による収縮で徐々に飛び出してきます。すき間から入った雨が溜まるなど雨漏れにつながる注意サインです。屋根材がずれている箇所がある場合も、劣化とメンテナンスサインですから、私たちプロにご依頼いただきしっかりチェックしましょう。
4-2.基礎
建物のコンクリート基礎は、外周から見てひび割れと水漏れをチェックします。
コンクリートはどうしてもヒビが発生する素材ですから、1mm以下の細かいクラックはあっても大きな問題であることは少ないです。しかし、数ミリ以上の大きなヒビ割れは、地盤の変動や基礎内部の鉄筋のサビなど劣化のサインの可能性があります。
基礎が濡れたように変色している箇所も注意が必要です。給排水管の漏れや雨漏れが伝わっているケースや、湿気が溜まっているケースなどが考えられます。雨上がりなど乾きにくいこともありますが、常に濡れている箇所があったら詳しい調査で原因を突き止めましょう。
4-3.屋根裏/床下
普段見えない場所としては、屋根裏や床下をチェックします。屋根裏は押し入れやクローゼットの天井から、床下は収納庫や点検口などから覗くことができます。慣れていない方が奥まで入るのは破損やケガの危険がありますので、見える範囲をチェックするのがおすすめです。
雨漏れ跡があったり、かび臭かったりした場合はしっかり原因を調査すべきです。水漏れや結露を察知することで、劣化を食い止めることができます。
4-4.タイルのお風呂
水回りの中でもタイルのお風呂は劣化具合を判断しやすい箇所です。
タイルにヒビ割れが多い場合、細かいすき間から浸透した水分が床下の土台を腐らせているケースがあります。洗面所の床板が柔らかくなっている場合も、床下で水漏れしている可能性が高いので注意してください。
4-5.外周/庭
建物の周囲や庭にシンボルツリーやウッドデッキなどがある場合、シロアリに食べられていないかチェックしましょう。特に地面と接している木部はシロアリに食べられやすく、集まったシロアリが床下に侵入する可能性が高まります。
不要になった木材を庭や建物の周りに放置するのはなるべく避けましょう。
5.リフォームと建て替えはどちらがお得?
木造住宅の寿命を考えると、リフォームと建て替えどちらを選ぶべきか悩みますよね?
単純な費用だけで見ると、土台や柱を再利用して廃材も少ないリフォームの方がオトクです。建て替えと比べると1000万円以上費用を抑えられることも少なくありません。解体がないリフォームの方が工期も短いため、仮住まい中の家賃など付帯費用も少なく済みます。
ただし、現在の築年数によっては建て替えとあまり変わらない費用が掛かるケースもあります。外観や間取りを大きく変えたい場合なども、建て替えの方がメリットが大きいこともあります。両方のメリット・デメリットをしっかり比較検討してみるのが大切です。RenoBASE8は新築との比較検討もお手伝いしていますので、どちらが良いかお悩みの方もお気軽にご相談下さい。
6.【結論】中古住宅+全面リフォームは何年住める?
中古住宅や持ち家などの木造住宅を全面リフォーム・リノベーションした場合、何年ぐらい住むことができるのでしょうか?結論からお伝えすると、メンテナンスさえしっかりしていけば80~100年住むことは難しくありません。
建物の骨組みである柱や梁などの木部構造体は、水漏れによる腐食がなければ長く使うことができます。木材は数百年の耐久性があるというデータもあり、実際に築100年以上の木造古民家もたくさん現存しています。骨組みさえしっかりしていればリノベーションで新築同様にすることも可能ですから、大切な住まいをきちんとメンテナンスして長く暮らしましょう。
■まとめ:木造住宅を長く住むには適切なメンテナスを
日本の高い建築技術で建てられた木造住宅は、しっかりメンテナンスさえしていけば100年暮らすことも難しくありません。住まいの寿命を伸ばすためには、しっかり診断して適切なメンテナンスプランを組める技術力の高い施工店にご相談下さい。
創業100年以上の歴史を持つハウジング重兵衛グループの「RenoBASE8」は、経験と知識を活かし住まいを徹底的に調査します。
調査結果を元に、長く快適に暮らせる最適なリフォーム/リノベーションプランをご提案します。築年数が経ったお住まいについてもお気軽にご相談ください。
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